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文化庁「NPO等による文化財建造物管理活用の自立支援モデル検討事業」が完了しました

昨年より取り組んできた文化庁の平成29年度「NPO等による文化財建造物管理活用の自立支援モデル検討事業」が3月末で完了し、「信託受益権小口証券化と宿泊施設転用による歴史的住宅建築のリビングヘリテージ化」と題した報告書を提出しました。

報告書目次は以下の通りです。

序論
住宅遺産トラスト関西について
本事業実施の背景
成果の向こうに

1. 住宅遺産の現状
1-1 概論
1-2 代表的な住宅遺産の概要

2. 本事業の企画内容
2-1 本事業の目的
2-2 本事業企画の背景となった仮説
2-3 具体的手法

3. 事業活動の内容
3-1 事業検討研究会の開催
3-2 フォーラムの開催
3-3 先進事例の現地取材と事業者ヒアリング
3-4 各自治体へのヒアリング

4. 事業の成果
4-1 宿泊事業の可能性
4-2 歴史的に価値のある住宅を宿泊施設として転用する時の課題
4-3 所有権の安定と信託契約
4-4 不動産証券化と歴史的住宅建築
4-5 その他の成果

5. 本事業実施後の課題と今後の展開
5-1 新たなエンジニアリングレポート手法の開発
5-2 ヘリテージコンサルタントという職能の確立

文化庁事業概要ページ
平成29年度実施事業

当会では今後も、住宅遺産の活用・継承とそのための活動を共に持続的なものとできるよう、取り組みを進めてまいります。

栗原邸 継承のための一般公開

栗原邸一般公開2018

栗原邸 継承のための一般公開

旧鶴巻邸/本野精吾設計/1929年竣工/国・登録有形文化財

 この建物は、京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)校長を務めた染色家の鶴巻鶴一の邸宅として1929年に建設されたものです。設計者は同校教授であった建築家・本野精吾(1882-1944)。「中村式鉄筋コンクリート建築」と称される当時最先端の特殊なコンクリートブロック(通称:鎮ブロック)で建てられた、合理性を追求した建築です。一方でウィーン分離派やウィーン工房の影響を思わせる装飾的なデザインも見られ、モダニズムへの移行期に生み出された独自の建物だと言えます。
 2007年にはモダニズム建築の保存に関する国際組織DOCOMOMO Japanより優れた日本のモダニズム建築の1つとして選定され、2014年には国の登録有形文化財に登録され、2017年には京都市による「京都を彩る建物や庭園」に認定されるなど、近年その文化財的評価が高まっています。
 建物は老朽化により傷んでいましたが、2011年度より京都工芸繊維大学大学院の教育プログラムにより、学生とともに修復作業を行ってきました。この建物は、現在、購入者を探しています。建物の歴史的・文化的価値を継承し、長く居住もしくは活用してくださる方を希望しています。
 この建物の歴史的・文化財価値や修復の成果を広く知っていただき、よりよい継承を実現するため、所有者の栗原眞純氏のご協力により期間を限定して公開することになりました。多数のご来場をお待ちしております。

公開日:2018年5月26日(土)・27日(日)・6月2日(土)・3日(日)
公開時間:10:00~17:00

ギャラリー・トーク:5月27日(日)・6月3日(日)14:00~15:00
「住宅遺産栗原邸の可能性について」講師:住宅遺産トラスト関西のメンバー

栗原邸の購入をご検討の方は、住宅遺産トラスト関西(LHD@hhtkansai.jp 全て小文字で結構です)まで。一般公開当日も会場で受け付けます。

所在地:京都市山科区御陵大岩17-2
京都市営地下鉄東西線御陵駅下車 2番出入口から北方面へ徒歩約10分
入場料:一般1,000円/学生500円(収益は栗原邸の修復費用に充当)
申込み:不要

備考:駐車場はございませんので、お車での来場はお断りいたします。
建物および敷地内での飲食、喫煙は禁止いたします。
スリッパ(上足)をご持参ください。

主催:栗原邸保存研究会/住宅遺産トラスト関西
後援:DOCOMOMO Japan/京都工芸繊維大学KYOTO Design lab/認定NPO法人古材文化の会

問い合わせ:栗原邸保存研究会/住宅遺産トラスト関西(担当:笠原)
E-mail : kasahara@kit.ac.jp / FAX : (075)724-7250

文化庁「NPO等による文化財建造物管理活用の自立支援モデル検討事業」第3回研究会、フォーラム

10月21日に聴竹居にて行った第3回研究会では、京阪アセットマネジメント株式会社REIT運用部長・小島哲男氏をゲストに迎えて不動産証券化とREIT(不動産投資信託)をテーマにお話を伺い、不動産ファンドの仕組みと投資家の引き受けるリスクについて検討しました。

11月25日には、それまでの研究会での検討内容を踏まえたフォーラムを開催し、当会代表の窪添・理事の末村より、「旧喜多源逸邸のリビングヘリテージ化」として宿泊施設への転用案を提示しました(会場:旧喜多源逸邸)。
また後半は、理事の笠原による旧喜多源逸邸の価値についてのレクチャー、Club Tap事務局の中井憲子氏の建築ツーリズムの実際についてのお話を交えながら、文化財活用事業についての討論を行い、勉強会を締めくくりました。
勉強会終了後には、文化庁審議委員の方々との意見交換会行いました。

3月には、文化庁に報告書を提出することになっています。

文化庁「NPO等による文化財建造物管理活用の自立支援モデル検討事業」第2回研究会

9月21日に行いました第2回研究会では、「点在する小規模拠点を一元管理する宿オペレーションと用途転用現代事情」についての検討を行いました(会場:栗原邸)。
歴史的建築・住宅遺産を継承していくために、所有権を安定化した上で維持活用するには、何かの事業に供することが求められます。今回は、住宅を宿泊施設に転用することで道が開けるか、可能性を考えました。
まず、ジャパンホテルマネジメント株式会社取締役・田中和彦氏をゲストに迎え、特に京都に焦点をあて、ここ数年の観光客数と宿泊施設の動向と宿泊施設運営の実情などを伺いました。
続けて、当会代表窪添から、歴史的に価値ある住宅を宿泊施設に転用する際に生じうる機能的な課題、文化財的な課題、法的な課題を説明し、旧喜多邸、栗原邸の個々の問題も挙げた上で、京都市の特例措置や来年6月施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)から、新たな可能性を紹介しました。

次回第3回研究会では、来年春改正される法律の話などから、さらなる可能性について検討を行う予定です。

第2回研究会01

第2回研究会_02

第2回研究会_03

文化庁「NPO等による文化財建造物管理活用の自立支援モデル検討事業」第1回研究会

現在当会では、文化庁の「NPO等による文化財建造物管理活用の自立支援モデル検討事業」委託を受け、「信託受益権小口証券化と宿泊施設転用による歴史的住宅建築のリビングヘリテージ化 」というテーマで調査研究を進めています。
その第1回研究会として、9月3日に、きりう不動産信託株式会社代表取締役・桐生幸之輔氏をゲストに迎え、不動産の信託についての検討を行いました(会場:旧喜多邸)。

歴史的建築・住宅遺産の多くは、維持管理や相続コストの高さもあり、所有権との関係において常に不安定な状況に置かれています。
信託契約による所有の安定化は、このような状況を改善するための有効な選択肢の一つとなりうるでしょう。
信託の仕組みは実際に活用するとなると複雑ですが、制度運用上の制約やコストの問題など、長年実務に携わっていらっしゃる方ならではの非常に実践的なお話が伺え、具体的な視点を深めることができました。

次回第2回研究会では、点在する小規模拠点を一元管理する宿オペレーションと用途転用について、検討を行う予定です。

2016年度事業報告

多くの方々のご協力により、一般社団法人住宅遺産トラスト関西は第2期目の事業年度を終了することができました。
定時社員総会において事業報告書・貸借対照表が承認されましたので、掲載いたします。
今後ともご支援・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

2016年度事業報告書・貸借対照表

栗原邸 継承のための一般公開

栗原邸一般公開2017

 
栗原邸 継承のための一般公開

旧鶴巻邸/本野精吾設計/1929年竣工/国・登録有形文化財

 この建物は、京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)校長を務めた染色家の鶴巻鶴一の邸宅として1929年に建設されたものです。設計者は同校教授であった建築家・本野精吾(1882-1944)。「中村式鉄筋コンクリート建築」と称される当時最先端の特殊なコンクリートブロック(通称:鎮ブロック)で建てられた、合理性を追求した建築です。一方でウィーン分離派やウィーン工房の影響を思わせる装飾的なデザインも見られ、モダニズムへの移行期に生み出された独自の建物だと言えます。
 2007年にはモダニズム建築の保存に関する国際組織DOCOMOMO Japanより、優れた日本のモダニズム建築の1つとして選定され、2014年には国の登録有形文化財に登録されるなど、近年その文化財的評価が高まっています。
 建物は老朽化により傷んでいましたが、2011年度より京都工芸繊維大学大学院の教育プログラムにより、学生とともに修復作業を行ってきました。この建物は、現在、購入者を探しています。建物の歴史的・文化的価値を継承し、長く居住もしくは活用してくださる方を希望しています。
 この建物の歴史的・文化財価値や修復の成果を広く知っていただき、よりよい継承を実現するため、所有者の栗原眞純氏のご協力により期間を限定して公開することになりました。多数のご来場をお待ちしております。

公開日:2017年5月20日(土)・21日(日)・27日(土)・28日(日)
公開時間:10:00~17:00

ギャラリー・トーク:5月21日(日)・28日(日)14:00~15:00
「住宅遺産栗原邸の可能性について」講師:住宅遺産トラスト関西のメンバー

入場料:一般1,000円/学生500円(収益は栗原邸の修復費用に充当)
申込み:不要
所在地:京都市山科区御陵大岩17-2
京都市営地下鉄東西線御陵駅下車 2番出入口から北方面へ徒歩約10分

主催:栗原邸保存研究会/住宅遺産トラスト関西
後援:DOCOMOMO Japan/京都工芸繊維大学KYOTO Design lab/古材文化の会

問い合わせ:栗原邸保存研究会/住宅遺産トラスト関西(担当:笠原一人)
E-mail : kasahara@kit.ac.jp / FAX : (075)724-7250

備考:駐車場はございませんので、お車での来場はお断りいたします。
   建物および敷地内での飲食、喫煙は禁止いたします。
   スリッパ(上足)をご持参ください。

栗原邸の購入をご検討の方は、住宅遺産トラスト関西(LHD@hhtkansai.jp 全て小文字で結構です)まで。一般公開当日も会場で受け付けます。

秋のイベント、見学会+セミナー

 11月27日、サポーター対象の秋のイベント、見学会+セミナーを開催しました。
「旧喜多邸」が無事継承されたことを記念して、紅葉の美しいこの日に計画しましたが、あいにくの雨模様になってしまいました。

喜多邸1

喜多邸2

 今回、特別にお隣の駒井家住宅もオープンしていただきました。駒井邸からは大文字から喜多邸に景色が続きます。90年近くもこの景色が続いていたこと、そしてこれからも続いていく当たり前のことに安堵します。洋風様式的なヴォーリス設計の駒井邸から和風モダニズム藤井厚二設計の旧喜多邸、近代建築の縮図ともいえる貴重な景観です。

喜多邸3

 続いて、東京の住宅遺産トラスト幹事の松隈章さん、理事の木下壽子さんのお二人を招いてのセミナーです。東京の住宅遺産トラストは、吉村順三設計、音楽家園田高広邸の継承の成功をきっかけに、このように住宅遺産を継承する活動は、アイデア、ネットワーク、経験を蓄積して広くシェアすることが大切と、2013年3月に設立された経緯も伺えました。
聴竹居倶楽部代表でもある松隈さんからは、「今こそ問われる藤井厚二の住宅の価値」と題して、奥深い藤井厚二論をお話していただきました。藤井厚二を敬愛する松隈さんは、実はひ孫弟子でもあったというエピソードに縁のつながりを感じます。
昨年の今頃は、この紅葉をゆっくり愛でる余裕なく更地の危機に瀕していたのが遠い昔のよう、雨に濡れても、お庭の力に、今日も励まされました。

喜多邸4

撮影:松隈章氏
記:原田純子

公益信託大成建設自然・歴史環境基金助成金給付を受けました

このたび、当会の活動に対して、「2016年度公益信託大成建設自然・歴史環境基金」の助成を受けることになりましたので、ご報告いたします。
助成申請テーマは「近代住宅遺産の保存・継承・利活用における所有者支援を中心とした総合的情報提供・提案活動」です。
助成期間は1年間で、住宅遺産の各種調査・資料作成等に活用いたします。

岡本の洋館 内覧会

 『住宅遺産 名作住宅の継承』と題して1年間連載されます今年の家庭画報、その6月号に、「洋館を未来へ」と題して、岡本の洋館が登場しました。大正12年(1923年)に建てられ、阪神大震災までは、稲畑家、宮地家、塩野家と三家の暮らしを見守ってきました。その後の20年は、ときどき風は入れ替えるも住まい手は帰らず、ひっそり、その姿を留めています。

 このたび、家庭画報掲載を機に、今のこの姿を披露し、良いかたちで継承してくださる方を探したいと、やっとの想いで、重い扉を開きました。サポーター会員やH.P.、F.B.よりいつものようなお知らせで迎えましたので、初日は35名の来訪者でした。が、新聞各社、テレビやラジオからも次々紹介され、ご近所や阪急電車の窓から、ずっと気になっていたという方々や、はるばる関東や九州など遠方の方々まで、週末4週間、8日間でのべ700人を超える来訪者となりました。改めてしみじみ反響の大きさを感じています。
 梅雨の季節、雨の日も猛暑の日もありました。ガイドツアーも大勢の方が同時に来られます。初めての公開にいろいろ心配もしましたが、雨に濡れた紫陽花はより美しく、天井が高い館内には、気持ち良い風が吹き抜け、どうやら杞憂だったようです。皆さんに書いていただいたアンケートからは、「古き良き時代の洋館、心が豊かになりました。」「日常に疲れた現代人の癒しの場になれば」、また、「よく残りました」「ここまで維持されました」などなど感動の感想の上に、「なんとか残すべき」「残りますように」と祈るようなお言葉も多数いただきました。なかには先代、昭和37年くらいまでの所有者である宮地家とゆかりのある方々も来られ、しばし在りし日の暮らしに想いをよせ、感慨にふけりながら当時のお話も伺うこともできました。

 1日2回から3回、当会ならでは、建築史家、建築家の理事たちが替わりあって務めるガイドツアー、なかでも最後の2日間は、木子七郎を研究されている日本工業大学大学院生の武知さんに案内をお願いし、それぞれに大好評でした。
 「人が居てこその建物」、階段手すり等にも艶がでてきて、日毎建物そのものに生気が蘇るかのようで、久々の大勢のお客様に、なにより洋館が一番喜んでいるかのように見えました。ありがとうございました。これを機に、次のステージに進むことができますように、これからも応援よろしくお願いいたします。(記:原田)

岡本の洋館1

岡本の洋館2

岡本の洋館3

岡本の洋館4

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