『住宅遺産 名作住宅の継承』と題して1年間連載されます今年の家庭画報、その6月号に、「洋館を未来へ」と題して、岡本の洋館が登場しました。大正12年(1923年)に建てられ、阪神大震災までは、稲畑家、宮地家、塩野家と三家の暮らしを見守ってきました。その後の20年は、ときどき風は入れ替えるも住まい手は帰らず、ひっそり、その姿を留めています。

 このたび、家庭画報掲載を機に、今のこの姿を披露し、良いかたちで継承してくださる方を探したいと、やっとの想いで、重い扉を開きました。サポーター会員やH.P.、F.B.よりいつものようなお知らせで迎えましたので、初日は35名の来訪者でした。が、新聞各社、テレビやラジオからも次々紹介され、ご近所や阪急電車の窓から、ずっと気になっていたという方々や、はるばる関東や九州など遠方の方々まで、週末4週間、8日間でのべ700人を超える来訪者となりました。改めてしみじみ反響の大きさを感じています。
 梅雨の季節、雨の日も猛暑の日もありました。ガイドツアーも大勢の方が同時に来られます。初めての公開にいろいろ心配もしましたが、雨に濡れた紫陽花はより美しく、天井が高い館内には、気持ち良い風が吹き抜け、どうやら杞憂だったようです。皆さんに書いていただいたアンケートからは、「古き良き時代の洋館、心が豊かになりました。」「日常に疲れた現代人の癒しの場になれば」、また、「よく残りました」「ここまで維持されました」などなど感動の感想の上に、「なんとか残すべき」「残りますように」と祈るようなお言葉も多数いただきました。なかには先代、昭和37年くらいまでの所有者である宮地家とゆかりのある方々も来られ、しばし在りし日の暮らしに想いをよせ、感慨にふけりながら当時のお話も伺うこともできました。

 1日2回から3回、当会ならでは、建築史家、建築家の理事たちが替わりあって務めるガイドツアー、なかでも最後の2日間は、木子七郎を研究されている日本工業大学大学院生の武知さんに案内をお願いし、それぞれに大好評でした。
 「人が居てこその建物」、階段手すり等にも艶がでてきて、日毎建物そのものに生気が蘇るかのようで、久々の大勢のお客様に、なにより洋館が一番喜んでいるかのように見えました。ありがとうございました。これを機に、次のステージに進むことができますように、これからも応援よろしくお願いいたします。(記:原田)

岡本の洋館1

岡本の洋館2

岡本の洋館3

岡本の洋館4