住宅遺産トラスト関西イベント第1回見学会は、12月19日、京都山科琵琶湖疎水沿いの栗原邸で行いました。師走の底冷えのする寒い一日にも関わらず、41名の方々が集まってくださいました。
 栗原邸の建物のことは、京都工芸繊維大学大学院助教、当会理事の笠原一人から、また、お屋敷のイメージアップを図る方策を造園家杉景の住谷弘法氏から、伺いました。
 この建物は、京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)第2代校長鶴巻鶴一の自邸として、同校建築科教授であった本野精吾設計による建物です。外観は昭和4年当時としては、非常に先駆的なモダニズム建築ですが、内部は、鶴巻鶴一自身の大作であるろうけつ染の襖絵始め、電灯や調度品などアール・デコ風のインテリアでセンス良くまとめられています。外観とは違った印象に、新鮮な感動を受けておられるようでした。
 その後昭和16年から、戦後一旦進駐軍接収住宅にもなるも、数年前まで栗原家のお住まいでした。80数年という年月を経て、再び、母校によってモダニズム建築の改修・再生方法を学ぶ、実習の場ともなっています。
 今やミステリー劇場の舞台になったり、サスペンスドラマのロケ地にも使われたり、うっそうとした木立がミステリアスな表情を作り出しています。立ち枯れした松や実生の桧などを伐採し、太い幹から歴史感じるヒマラヤ杉はそのままに、伸びる枝を半分にして透け感を出すことで、建物が魅力的に蘇ります、と住谷さんよりアドバイスをいただきました。枝先から揺れる風を目でも楽しめ、室内には木洩れ陽も入ってくるでしょう、春の再訪が待ち遠しいです。
 参加者からは、「建物だけでなく植栽の話を聞けてよかった。」とのお声、また「改修や植木管理などボランティアの可能性を広げてほしい。」「協力したい。」と、この日は室内もとても寒かったにも関わらず、「実験的に1週間ほど滞在できればいいなあ。」、「暖炉が使えるようになると泊まってみたい。」と『この家で暮らすこと』への空想が拡がるようでした。

栗原邸見学会_01

栗原邸見学会_02